“こどもの本”総選挙 1位おめでとう ふしぎ駄菓子屋 銭天堂 廣嶋玲子先生にインタビューしたよ!

『りんごかもしれない』が1()にえらばれたことを記念(きねん)して、作者(さくしゃ)であるヨシタケシンスケさんにインタビューをしました!

10(ねん)(まえ)刊行(かんこう)された、ヨシタケさんのデビュー(さく)『りんごかもしれない』が1()(かがや)きました。ぜひ、お気持(きも)ちをお()かせください。

いやあ、もう、びっくりです。人生(じんせい)(なに)()きるかわかりませんね。10(ねん)(まえ)、イラストレーターだったぼくに、編集者(へんしゅうしゃ)さんが「絵本(えほん)()いてみませんか?」と()ってくれたときは、すごくうれしかったけれど、どうすればおもしろいお(はなし)をつくれるのか、全然(ぜんぜん)わからなかった。そうしたら編集者(へんしゅうしゃ)さんが「たとえばりんごとか、ひとつのものをいろんな視点(してん)()ようとするお(はなし)()みたいです」と宿題(しゅくだい)()してくれた。それならできるかも! とあれこれ(かんが)え、完成(かんせい)したのが『りんごかもしれない』。ぼくにとっても(おも)()れの(ふか)一冊(いっさつ)なので、とてもうれしいです。

どんなふうに、『りんごかもしれない』は完成(かんせい)したんですか?

最初(さいしょ)は、りんごをいろんな(くに)言葉(ことば)()いかえてみたり、だれがいつりんごを()(はじ)めたのか歴史(れきし)をさかのぼってみたり、教科書(きょうかしょ)みたいな絵本(えほん)(かんが)えていたんです。でも、それじゃあ全然(ぜんぜん)おもしろくなかった。そもそもぼくは勉強(べんきょう)がきらいで、あれこれ調(しら)べるのもめんどくさかったし、一生懸命(いっしょうけんめい)やったのに「まちがってるよ」ってだれかに()われたら、()ずかしい。で、(おも)いついたんです。「りんごに()えているけど、そうじゃないかもしれない」っていろいろ(かんが)える(はなし)にすれば、だれからも(おこ)られないなって。(あたま)のなかで想像(そうぞう)するのは、自由(じゆう)ですからね。

りんごかもしれない

作/ヨシタケシンスケ
ブロンズ新社

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ヨシタケさんはどんな()どもでしたか?

とにかく(おこ)られるのがきらいで、友達(ともだち)先生(せんせい)(おや)反抗(はんこう)するなか、大人(おとな)(よろこ)びそうなことを()う「空気(くうき)()む」タイプでした。()いたいことを()える、エネルギーいっぱいの友達(ともだち)にはあこがれたし、(いま)もそういう(ひと)素敵(すてき)だなと(おも)うけど、(おこ)られないようにするというのは、つまりまわりが(よろこ)んでくれることをする、ということ。だから(わる)いことじゃないんだよ、とぼくと(おな)じようにおとなしい()たちには(つた)えたいですね。
自分(じぶん)気持(きも)ちを誤解(ごかい)されないように(つた)えるにはどうしたらいいか、一生懸命(いっしょうけんめい)(かんが)えるぼくの性格(せいかく)は、絵本(えほん)()くうえでも(やく)()っています。

絵本(えほん)のネタは、毎回(まいかい)、どんなふうに(あつ)めているんですか?

ネタのため、というわけではないですが、毎日(まいにち)()がついたことをスケッチするのが習慣(しゅうかん)なので、そこからヒントをもらうことはたくさんあります。(とお)りがかりに()かけた()どものふざけた表情(ひょうじょう)や、道端(みちばた)()ちていた(いし)ころを()てふと(おも)いついたことなど、なんでも手帳(てちょう)(のこ)すんです。ただ、あまりにちっちゃく()くので()(ひと)はみんなびっくりしますし、ぼくも()めないときがある(笑)。
手帳(てちょう)()(かえ)していると「あれ? 3(ねん)(まえ)にもまったく(おな)じことを()いてる!」と自分(じぶん)でもびっくりすることもあって、人間(にんげん)そんなに成長(せいちょう)はしないんだなあ、と(おも)ったりもします。

『あるかしら書店(しょてん)』も4()入賞(にゅうしょう)しています。この絵本(えほん)はどんなふうに(おも)いついたんですか?

本屋(ほんや)さんに()って、本棚(ほんだな)をよーく観察(かんさつ)してみてください。いったいだれが()むの!? と(おも)うマニアックな雑誌(ざっし)や、へんてこなタイトルの(ほん)意外(いがい)とたくさん()つかるはず。
でも、その本屋(ほんや)さんに()いてあるのは、この世界(せかい)存在(そんざい)する(ほん)一部(いちぶ)世界(せかい)(ちゅう)本屋(ほんや)さんに、まだ()物語(ものがたり)知識(ちしき)がひそんでいて、あなたがいつか出会(であ)うその一冊(いっさつ)が、人生(じんせい)(おお)きく()えてしまうかもしれない。もっといえば、まだだれも()たことのない(ほん)を、いつかあなたがつくる未来(みらい)があるかもしれない。そんなふうに、(ほん)をきっかけに想像(そうぞう)をめぐらせて、みんなでわくわくしたかったんです。

あるかしら書店

著/ヨシタケシンスケ
ポプラ社

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(おや)先生(せんせい)には「(ほん)をたくさん()みなさい」と()われます。でも、(なに)()んでいいかわからない……どうしたらいいですか?

まず、自分(じぶん)一番(いちばん)関係(かんけい)なさそうな(ほん)(えら)んでみるのはどうでしょう。もしくは、これを()めって()われたらいやだな、と(おも)(ほん)を3(さつ)くらい(さが)してみる。で、一冊(いっさつ)だけがまんして()むとしたらどれがいいかなあ、って(かんが)えるんです。そうすると、「これなら()めるかも」って一冊(いっさつ)()つかったりする。自分(じぶん)の「()き」は、あんがい「きらい」のなかにも(ひそ)んでいるんです。
「おもしろそう」ではなく「つまんなそう」で(えら)んでみるのは、ひとつの()かもしれません。自分(じぶん)(なに)がきらいで(なに)()きか、(すこ)しずつわかると、(えら)ぶのも(たの)しくなっていくと(おも)いますよ。

ヨシタケさんが()どもの(ころ)()きだった絵本(えほん)(おし)えてください。

『やっぱりおおかみ』です。でも、(じつ)()うと、()どもの(ころ)はなんだかよくわからなくて()になる(ほん)、でした。そのお(はなし)(なに)(つた)えようとしていたのか、「わかった!」と(おも)えたのは二十歳(はたち)()ぎた(ころ)時間(じかん)をかけて(あじ)わったからこそ、その絵本(えほん)はぼくにとって唯一無二(ゆいいつむに)一冊(いっさつ)になりました。
全然(ぜんぜん)意味(いみ)がわかんなくてつまらない(ほん)大事(だいじ)にする必要(ひつよう)はないけれど、「わかんないけど、いつかわかる()がきたらいいな」と(おも)える(ほん)があったら、みなさんも大事(だいじ)にしてみてください。きっとかけがえのない一冊(いっさつ)になるはずです。

やっぱりおおかみ

作・絵/ささきまき
福音館書店

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ヨシタケさんが絵本(えほん)作家(さっか)として、()どもたちに(なに)かを(つた)えるために、大切(たいせつ)にしていることはなんですか?

ぼくはよく「(もの)()いよう」と()います。たとえば「(ぜん)(いそ)げ」と「()いては(こと)をしそんじる(=(いそ)ぐな)」みたいに、真逆(まぎゃく)意味(いみ)のことわざがあるように、言葉(ことば)というのはけっこう、いいかげん。みんな自分(じぶん)(ただ)しいと主張(しゅちょう)するために、都合(つごう)よく使(つか)っていることが(おお)いんです。でも、()(なか)にはたくさんの言葉(ことば)(かんが)(かた)があるってことを()らないと、みんなと(ちが)自分(じぶん)はだめなんだと()()んでしまったりする。だから絵本(えほん)(つう)じて、たくさんの「かもしれない」を想像(そうぞう)することで、自分(じぶん)にぴったりの言葉(ことば)(かんが)(かた)(さが)していけたらなあと(おも)っています。

自分(じぶん)()いたいことを(つた)えるとき、相手(あいて)(おこ)らせないようにするにはどうしたらいいですか?

(ただ)しさを主張(しゅちょう)するために、みんなあんがい、都合(つごう)よく言葉(ことば)使(つか)っている。という(はなし)をしたけれど、そのときに「()()かしてやろう!」という気持(きも)ちがちょっとでも相手(あいて)(つた)わると、ムッとさせちゃうんじゃないかな。ほら、「論破(ろんぱ)してやったぜ!」ってドヤ(がお)されると、たとえ相手(あいて)(ただ)しくても、なんだか(はら)()つでしょう? 意見(いけん)対立(たいりつ)しているときは、どうしても()(あらそ)いになってしまうけど、「あなたの()うことはわかるし、それもアリだと(おも)う。でも、ぼくはこうなんだよねー」と平和(へいわ)()()()うために、ぼくは言葉(ことば)使(つか)いたいなあと(おも)っています。

ヨシタケさんはどうしてそんなに、()どもの気持(きも)ちがわかるんですか?

ときどき「(いま)()どもは元気(げんき)がない」とか「もっとがむしゃらに頑張(がんば)らなきゃだめだ」なんて()大人(おとな)がいるでしょう。(じつ)は、ぼくも、そういうことを()われるタイプの()どもでした。でもね、まわりの空気(くうき)()んで、(おこ)られないように毎日(まいにち)()ごすのも、けっこう大変(たいへん)努力(どりょく)必要(ひつよう)なんです。だからぼくは絵本(えほん)()くとき、読者(どくしゃ)のみんなだけでなく、()どもだった(ころ)自分(じぶん)()けて、「そうだよねー、きみもつらいよねー」と(かた)りかけてもいるんです。だから(いま)()どもであるみんなも「そうだよねー、わかるー」って共感(きょうかん)してくれるのかもしれませんね。

インタビュー:立花もも
ヨシタケシンスケ / ブロンズ新社

1973年神奈川県生まれ。筑波大学大学院芸術研究科総合造形コース修了。2013年に初の絵本『りんごかもしれない』(ブロンズ新社)を出版。これまで『りんごかもしれない』『もう ぬげない』(ブロンズ新社)『りゆうがあります』『なつみはなんにでもなれる』『おしっこちょっぴりもれたろう』(PHP研究所)『あつかったら ぬげばいい』(白泉社)『あんなに あんなに』(ポプラ社) で7度にわたりMOE絵本屋さん大賞第1位に輝く。『りんごかもしれない』で、第61回産経児童出版文化賞美術賞、『つまんない つまんない』(白泉社)の英語版『The Boring Book』で、2019年ニューヨーク・タイムズ最優秀絵本賞受賞。

TOP100入りしたヨシタケシンスケさんの本

  • りんごかもしれない
    著 / ヨシタケシンスケ
    ブロンズ新社
  • あるかしら書店
    著 / ヨシタケシンスケ
    ポプラ社
  • このあとどうしちゃおう
    著 / ヨシタケシンスケ
    ブロンズ新社
  • もうぬげない
    著 / ヨシタケシンスケ
    ブロンズ新社
  • りゆうがあります
    著 / ヨシタケシンスケ
    PHP研究所
  • おしっこちょっぴりもれたろう
    著 / ヨシタケシンスケ
    PHP研究所
  • ぼくのニセモノをつくるには
    著 / ヨシタケシンスケ
    ブロンズ新社
  • ころべばいいのに
    著 / ヨシタケシンスケ
    ブロンズ新社
  • なつみはなんにでもなれる
    著 / ヨシタケシンスケ
    PHP研究所
  • それしかないわけないでしょう
    著 / ヨシタケシンスケ
    白泉社
  • ふまんがあります
    著 / ヨシタケシンスケ
    PHP研究所
  • ねぐせのしくみ
    著 / ヨシタケシンスケ
    ブロンズ新社
  • つまんないつまんない
    著 / ヨシタケシンスケ
    白泉社
  • みえるとかみえないとか
    著 / ヨシタケシンスケ
    アリス館
  • わたしのわごむはわたさない
    著 / ヨシタケシンスケ
    PHP研究所
  • あんなにあんなに
    著 / ヨシタケシンスケ
    ポプラ社
  • あつかったらぬげばいい
    著 / ヨシタケシンスケ
    白泉社

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